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新米書店員が少しずつ読む本と仕事のことを綴ります。

「虚空の旅人」読了。

守り人シリーズを順次読破中

虚空の旅人.jpg

守り人シリーズ4作目である、

「虚空の旅人」(上橋菜穂子 著 新潮文庫)を読了しました。

 

今回は職場の書店に在庫がなかったため、前作から間が少し空いたため

少々読みづらいかも、と思っていたのですが、

読み始めたらあっという間にその世界に引き込まれて、

速いペースで終えることができました。

 

これまでの「守り人」ではなく、「旅人」となっていることからもわかるとおり、

今作は守り人は存在せず、これまでの『外伝』的な感覚でした。

なので、舞台と主役となる登場人物は、新ヨゴ皇国から遠く南にある

「サンガル王国」がメイン。

そこに、王族の儀式に招かれたチャグムとシュガが加わっています。

 

(ちょっぴり残念ながら)バルサ、タンダ、トロガイは出てきません。

 

それでも、国・地域で受け止め方は違いながらも、

この世とあの世の間に「ナユグ」が存在し、やはりそこに

人間の心と魂が奪われてしまう…。

この世界観は共通していますね。

 

女性が世を動かしている

 

この物語の核は女性。

シリーズの主役でもあるバルサも女性ではあるのですが、

サンガル王国の女性たちの力の強さが際立ちます。

政治を陰で動かしている様子や、立ち入りが禁じられた秘密の会合の場所、

夫の無力さを嘆くところなど、やけに現実じみて面白い。

 

やっぱり、現世もファンタジーの世界も、女性でまわっているんですよ。

男は女にかなわないっすよ(笑)

 

チャグムがたくましくなってかっこいい!

 

幼いころに精霊の卵を宿し、王宮を追われた後

バルサたちと共に旅を続けたチャグム。

その間に戦闘・肉体的な経験はもちろん、

様々な人と出会い、その温かさを知ったチャグムは

とてもたくましく成長しています。

サンガル国王の次男で武闘派のタルサンと渡り合う姿の

かっこいいこと♡

 

それでも、最後は「とても仲良しになったとさ。」で終わらないところがすごい。

 

― だけど、タルサン、きみは、自分も〈王子〉という、目に見えぬ薄布をかぶっていることに、気づいているかい?

兵士たちを誇らしげに従えて出発していくタルサンの後ろ姿を見ながら、チャグムは、自分が兵を率いるときは、きっと、誇りよりは痛みを感じているだろう、と思った。 -

 

チャグムとタルサンがまた出会うことがあるのかどうか、まだわかりませんが、

次に会ったときはどんな会話をするんでしょうね(^^)

 

女性の強さが際立つ物語の中で、

チャグム、タルサン、そしてシュガの友情を熱く感じることができたのは、

私にとってとても嬉しいことでした。

 

次は「守り人」

 

さて、次に読み始めるのは「神の守り人」です。

また「守り人」に戻っていますので、

きっとまたバルサたちが活躍してくれる物語なのでしょう。

本当に楽しみです。