人々の暮らしの細かな描写について
「神の守り人 下・帰還編」を読んでいます。
まだこの巻の初めの方ですが、
アスラを助け、ジタンへの道程を逃亡するバルサが
今後どんな展開を見せて、タンダたちと出会うのか。
とても楽しみです。
さて、この守り人シリーズを読んでいて思うのが、
(もちろん、上橋菜穂子さんのほか作品もだと思いますが)
この世界に暮らす人たちの生活の描写が丁寧であることです。
例えば、現在読んでいるこの「神の守り人」の
最近のところから一部を抜き出すと、
~ 暖炉の火床から火種を掻き起こし、薪をのせた。ほどなくして、炎が薪をなめはじめると、バルサは火に手をかざし、じっと、揺れる炎を見つめた。
(中略)
煙突が詰まっていないかどうか、煙がのぼっていく様子を確かめてから、バルサは旅装を解き、寝台に横になった。 ~
という部分。
普通であれば、火をおこして身体をあたためたら
寝台に横になって寝てしまえばいいところを、
煙突が詰まっていないかどうか、煙の様子を確かめる、というのは
まさにその生活を体験していないと理解しようもない記述ですよね。
決して上橋菜穂子さん自身がこのような暮らしぶりではなく、
さすが文化人類学の勉強を重ねてこられた所以なのだと思います。
物語を読むにあたって、想像力を大きく膨らませていく読者にとって、
このような描写はさらにその力を与えてくれます。
「神の守り人」、いよいよ展開が激しくなってきています。
これからも楽しみにその世界に浸かっていきますよ♡